東京芸術大学卒業、同大学院修了。同大学卒業時に皇居内桃華楽堂御前演奏代表。文化庁オペラ研修所修了。文化庁派遣芸術家在外研修員としてイタリアへ留学。学部在学中に安宅賞、松田トシ賞受賞。第24回ジロー・オペラ賞新人賞受賞。中山悌一、高橋大海、久岡昇、ベルトラミ、メリチアーニの各氏に師事。
オペラでは、バロックから現代に至まで広範囲をレパートリーとし、『ポッペアの戴冠』、『ドン・ジョヴァンニ』、『マクベス』など数多くの作品に出演。特に1996年二期会『ワルキューレ』のヴォータン役で一躍脚光を浴び、第24回ジロー・オペラ賞新人賞を受賞。その後も新国立劇場開場記念『ローエングリン』で朗々たる美声を聴かせ国際的にも注目され、二期会『シンデレラ』では演技と歌唱の才能を存分に披露。以来、二期会『フィガロの結婚』(アルマヴィーヴァ伯爵)、同『タンホイザー』(ヴォルフラム)、新国立劇場『魔笛』(パパゲーノ)、同『青ひげ公の城』(タイトルロール)など数多くのオペラで喝采を浴び、昨年は同『ラインの黄金』、二期会および新国立劇場『ホフマン物語』、新国立劇場『サロメ』(ヨカナーン)、二期会創立50周年記念『ニュルンベルクのマイスタージンガー』など数多くの公演に出演し、若手の中でも群を抜く活躍を続けている。
また、コンサート歌手としても、NHK交響楽団定期演奏会への出演をはじめ、「第九」、『メサイア』、「マタイ受難曲」、「ヨハネ受難曲」、「ミサ曲ロ短調」、「クリスマス・オラトリオ」、「カンタータ」『聖パウロ』、『エリア』、『天地創造』、「レクイエム」(フォーレ)、「ドイツ・レクイエム」、「リュッケルトの詩による5つの歌曲」、「ゲレルトの詩による6つの歌曲」など、主要オーケストラとの共演も数多く、ことに「さすらう若人の歌」は小林研一郎氏の棒のもと、これまでに日本フィル、新星日響、読売日響などで演奏し、他に比肩するものがないと絶賛された。
歌曲の分野でも、2001年東京芸術劇場と翌年二期会創立50周年記念公演である「30日連続演奏会」でサントリーホールにてリサイタルを行い、造詣深く叙情的な表現と奥行きのある豊かな音楽性に対して高い評価を得た。
ヨーロッパ文化の規範に照らし、共演した国際的ソリストたちはもちろん指揮者たちからも常に賛辞を寄せられており、伸びやかで張りのある数少ないバリトン・カンタンテとして21世紀を担う活躍を続けている。二期会会員。